これより自然界に入る!

生物に「どうしてお前はそうなんだ?」と問いかける。

魚を飼いたいという人に質問したいこと。

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(写真提供自分。アクアテラリウム。これを片付けたら、その裏からクロゴキブリの卵鞘、つまり卵を見つけました)

 

目次

●はじめに

●時間

・明日が仕事でも、不測の事態に即座に反応し、徹夜で作業に取り掛かる覚悟はあるか?
・毎日世話する時間を、確保する覚悟はあるか?
・いきなり予定を入れられる生活をしているか?

●金

・趣味へささげられる貯蓄はあるか?
・急な散財に抵抗はないか?
・光熱費が増えるがいいか?

●理性と感情

・家族の理解はあるか?
・管理できるか?
・学習する意欲はあるか?
・殺せるか?

●どうしてこんな話をするのか

 

●はじめに

 

 熱帯魚にハマっていたことがあります。

高校生のときのアルバイト代(7~8万円)は大抵熱帯魚に費やしていました。
さまざまな種類にも手を出し、繁殖にも挑戦し、水槽が増えました。
繁殖させて個体を専門店に売ったこともあります。
 そのせいで物置は熱帯魚関連の道具でギッシリですし、水槽を置いていた床は体で感じられるほど沈んでいます。
 
 うれしいこと、かなしいこと、大変だったこと、うれしかったことをたくさん経験しました。
 
 そこでときどきネットや現実で相談される、
「熱帯魚飼ってみたいんだけど?」
という質問に対して、逆に質問で返したいと思います。
なぜなら基本的な飼い方は専門店や雑誌、書籍、人から教わることができるからです。
それすらしないということは飼わないほうがいいです。
そして仮にそうやって勉強していても、始めてからわかることがあるからです。
その始めてからわかることを、知識と経験をもとに質問したいと思います。
 
 
 

●①時間

 ・明日が仕事でも、不測の事態に即座に反応し、徹夜で作業に取り掛かる覚悟はあるか?

  家に帰ってきて水槽を見たら、明らかに様子がおかしいことがあります。
それは病気の有無、死体の有無、設備不良や故障であったりと様々です。
 
 地震があった場合は最悪水槽が割れていて、中がすべて室内にぶちまけてある場合もあるそうです。
このようなとき、すぐ作業に取り掛からないと生体が全滅します。
 あるいはマンションなら、階下に水が漏れて法的トラブルに発展することもありえます。
死体はすぐに取り出さないと、水質汚濁の原因になります。
そうしないとせっかく生きている生体を殺してしまうことになります。
ヒーターが故障していて、水槽の水が熱くなっている場合もありえます。
そのときエビは茹でたように真っ赤っかになって死にます。
水槽を置いている部屋の臭いも少々キツいことになっています。
 このような事態に、明日やろう、という心構えならお金を捨てているのと同じ結果になります。
かわいがって面倒をみることができるかという点では、人間の赤ちゃんと同じ。
これは経験上、言い過ぎではないと思います。
 
 
 

 ・毎日世話する時間を、確保する覚悟はあるか?

  熱帯魚飼育はメンテナンスが重要です。
普段から異常を見抜く力を養うためにも、観察する時間が必要です。
エサやりだけすればいいという問題ではありません。
また、週に1回は水替えをする時間を確保したいです。
水替えは慣れると1時間ほどで完了します(水槽1つの場合)
しかし、そのときも観察が必要です。
 仕事が忙しいというのは基本的には良いことです。
しかしその中で生き物を飼おうとするならば、付き合いを減らす覚悟と実行をするべきです。
 
 
 

 ・いきなり予定を入れられる生活をしているか?

  病気に気づいて、その場でできる対処をしてもまだ足りない場合があります。
そんなときは魚専用の薬を買いに走る必要があるかもしれません。
お店が開いている時間に帰宅できるような日が、自分にどれくらいあるかしっかりと確かめておくべきでしょう。
 
 
 

●②金

 ・趣味へささげられる貯蓄はあるか?

  安価でやろうと思えば、1万円以内でできると断言できます。
月の電気代と水道代は規模によりますが、1000~2000円と見ておきましょう。
しかし絶対にあれも買いたい、これも買いたいが止まらなくります。
これなら便利そうだ、とか考えるようになります。
なので専門店だけでなく、100均やホームセンターに入り浸るように。
熱帯魚飼育は散財するのが早い趣味だと思います。
そしてガラクタが増えるスピードが半端ではありません。
「いつか使えるから!」と言って家の一角がものであふれかえることになります。
家庭をお持ちの方なら、物置の空き状況を確認しておくことが、家族を説得するちょっとしたポイントになります。
 話を少し変えますと、たとえばウチダザリガニは低温飼育が必須です。
マニアはウチダザリガニ専用に冷蔵庫を買って改造し、その中に水槽を置いて飼育しています。 
 また、熱帯魚マニアは家を建てるときコンクリを床下に敷き、飼育専用の部屋を設け、クーラーを24時間稼働し続けています。
もちろん電気代は千、いや万単位で跳ね上がります。
  自分の生活がどう変わるのか。
このことを十分に想像してほしいと思います。
 
 
 

 ・急な散財に抵抗はないか?

  病気や出産、故障などで急に散財することが必ずあります。
もし、ヒーターが故障していたらすぐに3000円ほどが飛びます。
大きいヒーターなら5000円近くすることもありますから、突然大きな出費を強いられることになります。
熱帯魚が死なないためだとか考える前に、反射的に購入することができるかどうかが求められます。
そうでないと魚が死んで空っぽの水槽が出来上がります。
  自分がこれからも継続して飼うと決めた場合は、ヒーターのストックがあったほうがいいでしょう。
しかしストックを持っているのは母数(何かしらの水生生物を飼っている)に対しては少数だと思います。
 
 
 

 ・光熱費が増えるがいいか?

  もちろん水槽1個ならちょっとした違いです。
しかし増えるとそうはいかなくなります。
水道代が上がる。電気代も上がる。
設備ではメタハラ(メタルハライドランプ)を投入すれば一気に電気代が上がる。
もちろん冬はヒーター代が割り増し加算される。
水槽がほんのりとあたたかくて気持ちいい(笑)
それが毎日続くと電気代は当然値上がりします。
 家族からのクレームに対処するためにも、事前に光熱費が上がることを示しましょう。
説得にはある程度の情報開示が必要です。 
  
 
 

●③理性と感情

 ・家族の理解はあるか?

  よくネット上で言われるのは、生き餌への理解がないというものです。
一般人はメダカや金魚をかわいがる対象として見ています。
しかし熱帯魚となると、それを食べる奴らがいるので、飼う側はエサにする視点でも見ています。
食べさせるために繁殖させている人も珍しくありません。
また専門店から大量に買ってきて、少しずつ食べさせるために置いておく水槽、通称ストック水槽を持っている人はもっと多い。
なので目的がわかると頭ごなしの非難が始まります。
粉末状のエサの中にどれだけの生き物が入っているかも知らずに……。
 そういったことも含めて理解が必要です。
 
 また子どもがイタズラすることがあります。
  • 洗剤を入れられた。
  • 勝手に魚を入れられて全滅した。
ということが見受けられます。
私の場合は、
  • 親が勝手に水替えをして魚が全滅しました。水温も調節せずに、水道水をそのままジャボジャボ入れたことが原因です。
こういったことがあるかもしれない。
「子どもがやったことだから」
なんて言いそうな人が身内、近所にいたら熱帯魚飼育は覚悟したほうがいいです。
 
 
 

 ・管理できるか?

  水替え・掃除はいつしたか、エサはいつやったかなどを意識して覚えていられるかどうかを問いたいです。
観察も合わせて、定期的に管理する心構えが必要です。
仕事・学業が忙しくなると、それがおろそかになり失敗します。
忙しくなっていたら、いつの間にか病気にかかっていたことは多く聞きます。
私もそうでした。
命を無駄にしないためにも、軽い日記テイストのデータを見返せるくらいの余裕がほしいですね。
 
 
 

 ・学習する意欲はあるか?

  死なせてしまうことは必ずあります。
自然化の生き物を飼うことは本来は難しいというのが基本的な認識です。
仕方がないことです。
しかしその死から何かを学び取る意欲がなければ、また同じような犠牲を出してしまう。
お金も無駄になる。
いったい何が原因だったか、飼育環境を根本から見直すことが肝要です。
それでもわからないときは生体のことを図鑑や雑誌などで勉強しなければなりません。
 
 また専門店でも買っていいものと悪いものがあります。
オカルト要素を持っている品物が少なからず、堂々と置いてある。
お金を散財しないためにも、水質管理を勉強しよう。
特にバクテリア関連の商品は要注意です。
 
 
 

・殺せるか?

  飼えないと言って放流する人がいます。
その人は自然破壊を行っていることに気づいていない。
たとえば、ヒメダカと野生のメダカは全く違う。
ヒメダカを放つと野生のメダカの勢力図が小さくなってしまう。
 
 やっぱり飼えないというのは、起こりうることです。
その場合は自分の手で殺してほしいと思います。
死体を川に流すのもなしです。
生態系に影響が出ます。
なぜなら、飼育された生き物は人工のエサと人工の化学物質の中で生きています。
その死体を自然下の生き物が食べると体を組成する物質が変化し、遺伝子に影響を与えてしまうからです。
生ごみとして出すのが理想です。
庭や土に埋めるのもできればやめてほしいです。
私はプランターに埋めています。
絶対に逃がすのはやめてほしい。
いざとなったら殺す覚悟を持ってほしい。 
変な話ですが、殺せないなら飼えません。
 
 
 

●どうしてこんな話をするのか

 不満があるからです。
ファインディング・ニモ』がブームになったときは、淡水魚さえ飼ったことがない人が買い、カクレクマノミが大量死したと言われています。
犬猫の殺処分も、未だに定期的になされている一方で、ペットは新品が買われている。
 

私は、生き物を現金で購入している以上、生き物をモノとして扱っている部分があるということを自覚してほしいと思っています。

 

愛情などは二の次です。
犬猫が無条件に好きなら保健所の抽選会に行けばいいんです。
それをしないということは、生き物を物質的・嗜好的に見ている側面があるということだと思うのです。
お金を払った以上、しっかりと管理することが必要です。
それを踏まえたうえで、愛情を注がなければなりません。
その心構えがないなら買わない(飼わない)ほうが身のためです。

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(写真提供自分。アクテラリウム。アスパラガス・ナナスが生い茂る)