山、行ってきた。鏡山(滋賀)
かがみやま 老いぬるかげを はづかしみ
たれこめてはが 行くと見るらん -本居宣長ー
鏡山 君に心や うつるらむ
いそぎたたれぬ 旅衣かな -藤原定家ー
吾妹子が 鏡の山の もみぢ葉の
うつるときにぞ 物はかなしき -大伴家持ー
和歌、俳句、漢詩などでたくさん読まれてきた鏡山。歌枕にまでなった近江の名山を行く。
- 実行日:2017/06/05 晴れ
- 時間:ハイキングコース入口9:50~道の駅かがみの里12:50
- 登山ルート参考文献:『新・分県登山ガイド 24 滋賀県』(2013、山と渓谷社)に従った。
- 車か徒歩か:コースとしては縦走するので徒歩がいい。電車とバスがあってアクセスしやすい。
- 登山客層:30代と思われる夫婦が1組と老夫婦1組の4人と遭遇した。月曜日なのにこれは多いほうだ。
- 迷うか?:鏡山~星ヶ峰の尾根沿いは赤いマークがあるのでそれを追えば大丈夫。むしろやせ細った尾根沿いなので滑落のほうが心配。冬季は危険だと思う。
- 体力は?:息が上がるような、あるいはふくらはぎが突っ張るようなところはほとんどなかった。
- ヤマレコMAP記録ID:1160805
感想
参考文献に従って、野洲駅からバスに乗り換える。しばらく揺られると終点の三井アウトレットパーク滋賀竜王店に到着する。野洲駅~アウトレット間はバス料金460円。
アウトレットの駐車場P5まで行くと、ハイキングコースの案内が看板として立っている。そこに入ってガードレール沿いに見遣るとすぐ川に降りるところがある。そこがハイキングコースになっている。鉄製のチェーンが張ってあり、入ってはいけない空気だが、そのまま車道を行くと行き止まりの駐車場だ。しばらくは川沿いの道を行く。ところどころ地面が濡れているので泥が付くかも。
直に鳴谷池に出る。快晴が続いたときだったので水量が少ない。近くまで行くと魚とザリガニがいるのを確認した。増水時は迂回路があるのだが、急斜面だった。また増水時はハイキングコースがどのような状態になっているか未知数だ。
植物が生えていない、不毛の大地。これはワイルドアームズの世界観ではないか?そう思って一人で撮影。世界にひとりぼっち。やってみたかった。
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時間を無駄にしたが、それからここで小腹を満たす。休憩所があるのだ。ただスズメバチの大きい巣を駆除した跡が東屋の天井にあった。今から巣作りをすれば9月頃にはバスケットボールほどにできる。注意(下の画像では見えない。一番高いところ)
これから雲冠(雲観)寺跡を見に行く。鏡山山頂の標識に従って進む。道中「石の広場」なるものがあるのだが、石しかない。
雲冠(雲観)寺跡には当時の石垣と三尊石仏と井戸が現存している。三尊石仏は阿弥陀・観音・大勢至の三尊で中世以前のものとのこと。風化していて石に戻りつつある。まだら模様になっているのは地衣類の仕業だ。
石垣のところに井戸跡がある。ここは飲料水として使われていたと推測されている。井戸を木の枝で突いたが、もう土が堆積していた。
これ以降は鏡山山頂や展望の広場に従って進む。すると竜王山山頂(384.8m)に到着する。「展望の広場」はがっかりポイント。全然展望がない。木々を伐採しなければならないので仕方ない。
事前に知っていたが、本当に何も見えない。
竜王社・貴船神社は降りてすぐだ。貴船神社の社と思われる場所は今は荒れ果て、内側の壁板は落書きだらけで風情がない。山奥の社なだけに大変残念だ。
四隅すべてが落書きだらけだった。
そこからもう一度竜王山山頂に戻って鏡山山頂の標識を見ると、「この標識はデタラメです」と書かれている。これはその通り。鏡山山頂は本当は左なのに、右に示されている。
アップで見ると…。
左に進むと鏡山山頂はすぐだ。途中枝道があるが、そこは右だ。すぐ近くには涼み岩がある。120度ほどのパノラマが楽しめる。
さてこれから星ヶ峰の標識に従って進む。尾根沿いを歩くのだが、道が細く、砂利で、傾斜があるという場所もある。迷う前に滑落するほうを心配した。もっと細い場所もある。
迷うほうについてだが、『新・分県登山ガイド 滋賀県』で今回のコースが掲載されているからなのか、真新しい赤いマークが気に付けられている。これを確認し続ければ尾根を外れることはない。枝道が多いので確認を怠ってはいけない。マークがなければGPSに頼りっきりになっていただろう。感謝。
尾根沿いの眺望はゼロ。聞こえるのは鳥の声、電車の音。風も快適ではない。ほぼ無風だ。
道中、変な岩。
途中から道の駅と書かれた標識があるのでそれに従う。ここまで来れば、道の駅かがみの里はすぐだ。
道の駅かがみの里に到着。
道の駅の反対側に源義経元服の池がある。池はザリガニが多くいた。小ぶりだった。
ついでに鏡神社も参拝する。源義経が鏡神社を参拝する際、ここにかつてあった松の枝に烏帽子をかけたという。しかし明治6年(1873年)の台風で折れてしまい、今は幹の部分だけがある。松でこれだけ太いとはさぞかし立派だったろうに。
鏡神社自体も面白い。屋根が。なだらかなカーブだ。
周辺には歴史を偲ぶ立て看板が豊富にあるので、時間がある方は8号線沿いを歩いて行こう。道の駅かがみの里から篠原駅は歩いて約30分ほどだ。道がわからなかったらとりあえず新幹線の線路をくぐろう。そのうちJR線の線路に当たる。
今回の山は寺跡、神社、歴史があったがインパクトに欠ける。眺望も一部分だけだ。日本史を知らないとこういう感想になってしまう。直近で言うと個人的には太郎坊宮のほうが好きだ。まだ信仰が続いているとわかるほうが温かい気持ちになる。廃村・廃寺などはそれはそれでいいが。
当日の生物