本、読み終えた。土屋智哉『ウルトラライトハイキング』
ウルトラライトハイキング Hike light, Go simple. ウルトラライトハイキングのバイブル文庫化! (ヤマケイ文庫)
- 作者: 土屋智哉
- 出版社/メーカー: 山と渓谷社
- 発売日: 2017/04/14
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
本書目次
書斎にて
01 歴史
02 哲学
03 原則
04 日本の流儀
トレイルにて
01 運ぶ、泊まる
02 歩く、着る
03 食べる、飲む
04 気遣い
本記事目次
2011年刊行の文庫化
登山におけるライト
登山初心者も参考にしやすい
2011年刊行の文庫化
- Pacific Crest Trail (PCT:4200km)
- Continental Divide Trail (CDT:4700km)
- Appalachian Trail (AT:3500km)
私が住む滋賀県にも高島トレイルという長距離トレイルが整備されている。
全長約80kmだ。
全山行が歩きなら1週間は要するらしい。
アメリカのトレイルがどれほど広大かよくわかる。
特にPCTとCDTはアメリカを縦断するトレイルだ。
その道を重い装備で行くのは苦行だろう。
エマという70歳に近いおばあちゃんは上記のATを3回もスルーハイクに成功したという。
しかも荷物は水を含めて9キロ以下。
驚愕である。
現代日本においても9キロ以下というのはせいぜい2泊くらいが限界では?
後には装備を減らすことに対して思想的な思惑を持って実践するレイが登場し、ウルトラライトハイキングのムーブメントを巻き起こします。
本書はそのような軌跡を前半で追い、現代でできる軽量化のノウハウを後半で知ることができます。
文庫化されてとてもコンパクトになりました。
本文は200ページもありません。
登山におけるライト
個人的にライトハイキングはギアの軽量化を図ること。
ギアを買い替えたりします。
で、ウルトラライトハイキングになると「このギアはこれにも使える。じゃぁ、あのギアは持って行かない」というのが具体的な表現になるのかなと思います。
つまり専用ギアという捉え方をしない。
登山をしていると必要に迫られて「これでいけるんじゃね?」という発想が浮かぶ時があります。
靴のソールが剥がれたときや布が破れたときのためにダクトテープなどを持っておく人も多いはず。
真似できるかどうかは経験次第だが、アメリカではポンチョをレインウェア、タープ、桟敷、テントと様々なことに転用するらしい。
これはアメリカだと必ずしもトレイルが稜線上にあるわけではなく、むしろ低いところに道がある場合が多いかららしい。
日本だと稜線上にあることが多く、景色が良い代わりに風がキツい。
ポンチョだと下からの風でめくれあがってしまう危険がある。
日本ではどこでもポンチョというわけにはいかない。
だが参考になる。
もう一つは朝の寒さを防ぐために寝袋を肩にかけて行動を開始する人もいるらしいということ。
日本でそんなことしたら目立って仕方ないだろう。
アメリカのトレイルはそんなことができるくらい強風がないのだろうか?
そういう工夫をできる自由さと寛容さ、日本にも少し欲しい。
日本の山岳系雑誌を見ると、まだギア毎の重さを重視している。
だけど軽いから良いってわけではもちろんない。
頑丈なら気にせずガシガシ使える。
どれを軽くするのが自分に合っているか見極める必要がある。
悪天候でも行く人ならウェアは機能性重視、料理好きな人も右に同じ。
そう思うとウルトラライトハイキングは奥が深い。
「なぜ自分は登るのか?」という答えにも行き着きそうだ。
ウルトラライトハイキングは思想的な取り組みでもある。
登山初心者も参考にしやすい
本書の前半はウルトラライトハイキングの歴史や思想といった内容だった。
後半は最近登山を始めた方にも読んでもらいたい内容だった。
ギア一つ一つにおける基本的な説明とライトにするための工夫が書かれているからだ。
ゴアテックスを盲目的に信頼していないか?
もしくは防水透湿性の科学的原理を知らないでいるのか?
そういったことにもわかりやすく説明がある。
今後のギア選びにも参考になる良いコンテンツだと思った。
登山であれもこれもはできない。
登山のバックパックで大きいのは80リットルくらいだ。
巨大である。
外に出るのに、もったいない。
それで疲れるくらいなら、転用する方法を考えよう。
無理のない範囲でね。